志のチカラ

全米で人気のオーディション番組で日本人として初めて優勝、 7万5000組の頂点に立ち、賞金100万ドルを手にした蛯名健一さん。 Facebookでは開始1年強で7万を超える「いいね!」を獲得。 世界中の人を魅了し続けるパフォーマーの“オンリーワン戦略”とは?

1974年神奈川県生まれ。20歳のときに留学のため渡米し、趣味としてFreestyle Hip-Hopダンスを始め、さまざまなジャンルのダンスを独学で学ぶ。大学卒業後の2001年、トップアーティストの登竜門として名高いニューヨーク・アポロシアターの「アマチュアナイト」で、日本人初の年間総合チャンピオンとなる。2013年に「アメリカズ・ゴット・タレント シーズン8」で日本人の身体表現者として初めての優勝を果たし、YouTubeなどを通じて一躍世界のトップスターに。

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二流の技術を組み合わせて一流に見せる
ジャンルに縛られない「Dance-ish」
最も文化ギャップを感じたのは日本
世界を舞台に成功する秘訣とは

二流の技術を組み合わせて一流に見せる

──イギリス版では歌手のスーザン・ボイルを輩出したことで知られる、アメリカで絶大な人気のオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント(以下、AGT)」で日本人として初めて優勝されましたが、世界の才能が集まるニューヨークで実力を認められるまでには、多くの壁やご苦労があったのではないでしょうか。
蛯名さんが「鉄板ネタ」と呼ぶ「首落ちマジックダンス」。Youtubeなどを通じて世界中に衝撃を与えた。

蛯名:特に苦労と感じたことはなかったですが、しいて言えば多少の壁はありました。コネチカット州の大学を卒業後にニューヨークへ行き、ダンサーとしてオーディションを受けたのですが、全然ダメ。マイケル・ジャクソンのオーディションでは踊ることなく落とされました。身長や体格など僕の見た目だけで不合格。そのときは屈辱的に感じたのですが、冷静に考えたら僕がプロデューサーの立場でも同じようにするなと。僕の身体的な特徴を活かせる設定があれば別ですが、例えば、演出上、背の高い美しい女性が必要なところにそうではない女性が来ても無理じゃないですか。「壁」を「苦労」して登るのは大変な努力が必要なので、登らずに、横から迂回することにしました(笑)。

 また、ニューヨークは実力社会といわれていますが、実際にはコネがものをいう部分もある。でも僕にはコネもない。そういうものがまったくないなかでやっていくにはどうするか。「ベスト」ではなく、「オンリー」を目指そうと。

──蛯名さんが目指したオンリーワンとは?

蛯名:お客さんから求められるオンリーワンでなければ意味がない。僕はいろんなショーに足を運んで観客の反応を見るのですが、玄人から見ればレベルの高いダンスであっても、一般のお客さんは5分、10分もすれば飽きてくる。ショーの後半にさらに高い技術で踊っても、目が慣れてしまって感動がない。

 ひとつの要素で魅せるには常にレベルを上げていかなければならず、血のにじむような練習が必要ですが、それはしんどい。僕は何をやってもある程度まではできるのですが、練習や努力が嫌いなので、それより上の「ベスト」や「ナンバーワン」にはなれない。であれば、少し練習すればできるようになる要素をいろいろと組み合わせて、お客さんが飽きないパフォーマンスをして「オンリー」になろうと。

 実際、僕は専門家から見ればダンスもマジックも映像も二流だと思うのですが、一般の方に通じるレベルがあれば、それ以上の高いレベルは違いが分からないので必要ない。要はお客さんを満足させる、喜んでもらえるレベルであればいい。1割の玄人に認められるものではなく、9割の一般の方が喜んでくれるものを提供する。そこはマーケティングにおいて重要なことだと思います。僕の相手は、一般人であり、いろんな文化圏の人であり、ダンスから縁遠い人ばかりだったので、レベルの高い複雑なものよりシンプルで分かりやすい動きのほうがうける。レベル10を目指すために努力するのではなく、レベル7やレベル5の技術を組み合わせて一流に見せる、観客を楽しませるというスタイルなんです。

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ジャンルに縛られない「Dance-ish」

──蛯名さんのパフォーマンスは、首が落ちるマジックや踊り、演技、映像など盛りだくさんですが、いったいどんなジャンルになるのでしょうか。
自身のパフォーマンスを「Dance-ish」(ダンスのようなもの)と評する蛯名さん。もはや蛯名さんの存在自体がひとつのジャンルとなっている。

蛯名:「Dance-ish」と言っているのですが、これは僕の造語で「ダンスのようなもの」という意味です。ダンスはあくまで1要素であり、効果音、パントマイムやマジック、格闘技、映像などいろんな要素を取り入れたパフォーマンス、エンターテイメントという大まかなジャンルで捉えています。

 ニューヨークで活動を始めた当時、技術だけで魅せるのは難しかったので、ストーリーベースで効果音をふんだんに入れた構成にしたんです。例えば、「ティッキング」というコマ送り映像を見ているような動きがあります。通常は曲に合わせて踊るのですが、逆に動きに合わせて効果音を作ってしまおうと。映画の手法と同じですね。後で効果音を付けることで迫力や臨場感が増す。いまではダンスの世界でも一般的ですが、当時はあまりなかったので、そういった工夫をしていくことで仕事が拡がりはじめました。

──AGTの審査員は蛯名さんを「ライターでもあり、コメディアンでもあり、アクターでもあり、ダンサーでもあり、イリュージョニストでもある」と表現していましたが、観客にそう印象づけることを意識していたのですか。

蛯名:はい、狙いどおりでした。AGTで勝ち進んでいくなかで、そういうコメントをしてくれる審査員が出てくるはずだと。ダンスの技術に目がいきがちだったので、こういう感想はすごくありがたいことで、オンリーな存在として印象づけたかったのもまさしくそこでした。意識しているのはジャンルにとらわれないこと。自分ができそうなこと、お客さんに楽しんでもらえるものは何でも取り入れています。将来的にダンスがまったくないショーができるようになったら、それはそれでいいと思っています。

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